【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第98章 ◇第九十七話◇悪魔との交渉【恋の行方編】
大声を出すなんて見たことがなくて、驚いた。
思わず固まってしまったルーカスに、はまっすぐに見返して続ける。
「リヴァイ兵長は、今までいろんなものを失ってきた。
その度に何度だって立ち上がって、前に進んで、そうやって手に入れたのが
今の仲間と居場所なの。それを、私やあなたみたいな甘ったれた人間が奪っちゃいけない。」
力強い眼差しー。
初めて見るは、とても美しかった。
愛に満ち溢れていて、全身で、愛を叫んでいて。
これこそ、ルーカスが欲しかったの姿。
でもそれは自分のものではない。他の男のものなんてー。
「あの男がどんな苦労人かは知らないが、俺には関係ない。
そんなに苦労が好きなら、俺に盾突くとどうなるかも
知ってもらえばいいだけの話さ。」
「あぁ、そう。
それなら、あなたも苦労を知ってみればいい。」
「ハッ、俺が?
面白いことを言うね。俺に一番程遠いのが苦労というものだよ。」
話にならないーとルーカスは笑う。
でも、はそれを分かっていたように、続ける。
「あなたが今まで握り潰してきた真相は、
今回の爆弾事件だけではないわよね。」
「さぁ、何のことかな?」
ルーカスの執事は、この世界で最も優秀だ。
絶対に、証拠は残していない。
そう、胸を張って断言できる。
そうやって今まで、思い通りに全てを手に入れて来たのだからー。
それなのに、とぼけるルーカスにも、は全くひるまない。
「ヴェスタープ伯爵の失脚。」
「…それがどうかしたかい。」
「それもあなたが裏から手を回していたという証拠を
私は持っている。」
「嘘だ。」
「他にもあるわよ?聞きたい?」
「君にそんな証拠を掴めるわけがない。」
自信満々なに、次第にルーカスは焦りを出し始めていた。