【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第95章 ◇第九十四話◇幸せな一日の、最初の日【恋の行方編】
手紙を出し終えた私は、近頃の毎朝の日課になりつつあるリヴァイ兵長の執務室兼自室の掃除を始めていた。
本来は掃除というのはあまり得意でもなければ、好きでもない私だけれど、毎日のように強制的に続けられていれば、三角巾を頭に巻くのも、慣れてくるらしい。
掃除が大好きというより、掃除の行き届いた綺麗な部屋でないと落ち着かないらしいリヴァイ兵長は、私の掃除の仕方が甘いと常々言っている。
だから、本当は自分が掃除をしたいのだろうけれど、エルヴィン団長からも安静にしていろと言われているので、動くわけにもいかず、ベッドの上に座りウズウズしていて、その視線がすごくプレッシャーだ。
「よし!これで完ぺー。」
「デスクの下がまだだ。」
「…はい。」
ベッドの上から指示を出すリヴァイ兵長の厳しい目に、なかなか合格を貰えず。
私の朝は、ほとんど掃除だけで終わっていく。
デスクの椅子を動かして、まずは箒で掃く。そして、デスクを下から布巾で綺麗に拭いた。
「よしっ!これで完ぺー。」
「次は窓だ。」
「えー、さっき拭きましたよ?」
「サッシの隙間を拭いてなかった。」
「…失念しておりました。」
「早急にやれ。」
「はーい…。」
リヴァイ兵長が貸してくれたお掃除セットの中から、小さめのブラシを取り出す。
これでサッシの隙間を拭くのが正しいらしい。
実家にいるときも、調査兵団で自分の部屋を与えられてからも、私だって掃除をしていないわけではない。
でも、私の掃除は、掃除ではなかったのだと、リヴァイ兵長の細かいチェックに教えられた。
「よっしっ!これでどうだっ!!」
それからも何度も厳しい目により不合格を貰いながらも頑張った。
リヴァイ兵長のいつも綺麗でピカピカの部屋も、頑張って掃除をすると一段と輝いて見える。
「…まぁ、良しとしてやろう。」
「よかった~…。」
緊張の糸が解れ、身体から力が抜ける。
でも、のんびりもしていられない。
やっぱりーなんて言われる前に、早急に掃除セットを片付ける。
そして、手を洗ってから、私はソファに腰をおろした。