【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第93章 ◇第九十二話◇美しい世界を貴方と生きる【恋の行方編】
1人になりたくなくて、談話室に来たけれど、そこにも私の居場所はなかった。
勢いよく壁に背中があたった反動で揺れた後頭部を壁にぶつけて、意識が飛びそうになる。
「い…っ。」
痛みに顔を歪める。
ペトラを見つけて声を掛けようとしたところで、ジーニーに肩を掴まれた。
何が起こったのか分からないまま、気づいたら、壁に背中から投げ飛ばされていた。
でも、私を怖い顔で見下ろすジーニーとその取りまき、数名の調査兵達の顔を見上げて、理解する。
私は、彼らを怒らせて当然だ。
人類を怒らせて、当然だ。
リヴァイ兵長を瀕死の状態にして、傷つけた。
私のせいで、全部、私のせいでー。
「ちょっとっ!あなた達、何してるのッ!!」
ペトラが駆け寄ってきて、私の肩に優しく触れる。
でも、彼女達に向けた顔は、私のためにとても怖く怒っていた。
「それはこっちのセリフよっ!任務だから仕方ないと思えって!?
コイツのせいで、リヴァイ兵長は死にかけたのにっ!!
それなのに、よくリヴァイ兵長の部屋に入り浸れるわよね!!!」
ジーニーが怒鳴りつける。
あぁ、本当にー、その通りだと思った。
私は、リヴァイ兵長のためだとか、役に立ちたいとか言って、ただそばにいたかっただけだ。
リヴァイ兵長が生きていることを、そばで見ていないと不安だっただけだ。
本当に、その通り過ぎて、涙どころか、苦笑いも出ない。
こんな私を、リヴァイ兵長が受け入れてくれるわけ、ないー。
幸せになれ、という優しい言葉で拒絶してくれるだけ、有難く思うべきだ。
いつの間にか、104期の新兵達やリヴァイ班のメンバー、マレーネ達も集まって、私を責めるジーニー達に言い返してくれていた。
でも、その声に被さって私を責める声は小さくならない。
むしろ、大きくなるばかりでー。
(あぁ、もう本当に…。)
壁にぶつけた頭が痛いわけじゃないのに、私は頭を抱え込んで目を伏せる。
悪いのは私だ。
優しい仲間が庇ってくれている、それは嬉しい。
でも、悪いのは、私だー。
私が、リヴァイ兵長を好きになんて、なったからー。
だからー。