【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第88章 ◇第八十七話◇真相を握り潰すなら君の笑顔のため【恋の行方編】
本当に、馬鹿だー。
だから、はリヴァイが心配で、消えてしまうんじゃないかと不安になるのだ。
そんな、傷だらけの、死んでもおかしくない傷を負っているくせに、の心配ばかりしているからー。
「リヴァイ…、私はやっぱりー。」
「お前達には悪ぃが、俺はどうなっても後悔するつもりはねぇ。」
「…世間に、君の過去が知れ渡る。
そして、英雄から一気に史上最悪の悪魔に落とされる。
それでも?」
「もともと、英雄になんかなったつもりはねぇ。」
「…兵士でいられなくなっても、後悔しないの?」
「俺は、自分より大事なものが出来ちまったらしい。」
リヴァイの手が、愛おしそうにの頬に触れる。
を見つめるリヴァイの瞳が、今まで見たことがないくらいに優しくてー。
ハンジは、それ以上何も言えなくなってしまう。
「そばにいないと、君が消えてしまいそうだって。」
「あ?」
「が言ってたんだよ。部屋に戻れって言っても聞かなくて、
そしたら、そばにいないとリヴァイが消えてしまいそうな気がして怖いって。」
「バカだな。」
「リヴァイ、君もだよ。君達は本当にバカだ。
これから、その報告書は憲兵団に届けられる。すぐに憲兵御用達の新聞社が報じるだろう。」
「だろうな。」
「その時、を泣かせることがあったら、許さない。
言っておくけど、リヴァイがを守りたいように、だって、
リヴァイには傷ついて欲しくないと思ってるんだ。忘れるなよ。」
あと、熱があるんだからちゃんと寝とけよ!-最後にそれだけ忠告して、ハンジは席を立った。
これ以上、リヴァイの顔を見ていられなかった。
お互いを守るために、自分を傷つけることしか知らない不器用な2人が、歯がゆくて、もどかしくて、苦しくて、胸が締め付けられそうだ。
そっと閉じた扉に、ハンジは背中を預けて、両手で頭を抱え、涙を隠す。
どうにかー、誰もが幸せになる方法はないのだろうか。
この世界は、どうしてこうも、必死に生きようとしているものに試練を与え続けるー。
ただ、笑っていたいだけ、笑っていてほしいだけ。
願いはただ、それだけなのにー。
それだけなんだ。