【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第86章 ◇第八十五話◇真実の愛を見た【恋の行方編】
ハンジ班が走らせた早馬によって、が無事で見つかったことは早急に全班に報告された。
の捜索を阻むように降り出していた雨も、発見の報告の頃に止んだ。
そんな中、ホッとした顔をした兵士達が続々と兵舎に戻ってくる兵門で、落ち着きなく行ったり来たりしている男が1人ー。
「ジャン、無事だったんだから、とにかく中に入って待とうよ。」
「お前らは入ってろ。俺は自分の目で確かめるまでは、安心できねぇだけだ。」
心配になってアルミンが声をかけても、ジャンは首を縦にはふらなかった。
忙しなく瞳を動かして、帰ってくる兵士達の中からの顔を探しているようだった。
「私だって…!さんが帰ってくるまでここで待ってるっ!」
「そう言うと思ったよ。」
クリスタの横で、ユミルがため息を吐いた。
サシャとコニーも、絶対に兵舎には戻らないと騒いでいるし、ライナーとベルトルトも、兵門から動く様子はない。
アルミンが困ったようにため息を吐いた時、兵舎に戻ってくる兵士の中によく知った顔を見つけた。
「おーいっ!お前らっ!!さん、連れて帰ってきたぞーっ!!」
馬の上で自慢気に手を振っているのは、エレンだった。
その周りには、リヴァイ班の班員達と、1人で捜索に向かってしまったリヴァイに代わって、エレンのお守りをハンジに任されていたミカサもいた。
「はっ!?ハンジ分隊長の班が見つけたんじゃなかったのか!?」
「そう。さっき、ハンジ分隊長の班に会ったの。後ろから来てる。
傷が開くといけないから、今、ゆっくり荷馬車を走らせてこっちに向かってるところ。」
ミカサが馬から降りて、騒がしいジャンに説明をする。
それが、余計にジャンを騒がしくさせた。
「傷っ!?無事だったんじゃねぇのかよっ!?
どういうことだよっ!?」
説明をしたミカサではなくて、ジャンは、馬から降りたエレンの肩を激しく前後に揺さぶった。
「いや…っ、ちが…っ、リヴァ…っ。いし…っ、いし…きっ!」
エレンが何かを言おうとしていたが、ジャンが激しく前後に揺さぶるせいで、全く分からない。