【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第85章 ◇第八十四話◇あなたが生きているだけで…【恋の行方編】
「まだ、俺に惚れてるのか。」
リヴァイ兵長は、私の涙を拭いながら言う。
私の心の奥まで見抜こうとしているような、真っすぐで強くて優しい瞳に、私は嘘なんて吐けるわけがないし、そもそも、命を懸けて守ってくれた人に恋をするのなんてとても簡単だ。
ここにいるのが誰だって、そのほとんどがリヴァイ兵長を好きになる。
でも、絶対に。
きっと、絶対に。
私は誰よりも、誰よりもー。
「…好き、です。すごく…、リヴァイ兵長の為なら、死んだっていいくらい…好き…。
大好きなんです…。誰より、ずっと…、ずっと…っ、好き…。」
零れる涙を、リヴァイ兵長の優しい指にゆだねたまま、私はたぶん初めて、ちゃんと気持ちを伝えた。
ただ素直にこぼれていく言葉達が、私のすべてのような気がした。
この気持ちが、今の私を作っているのだと、消すどころか、抗うことすら出来るわけがないのだと、気が付いて、涙が止まらなかった。
「なら、構わねぇよな。」
止まらない私の涙を拭いながら、リヴァイ兵長はどこか安心したような顔をした。
「…何がですか?」
「自分で言うのもなんだが、俺は結構頑張ったと思う。
褒美を貰っても、ばちは当たらねぇはずだ。」
褒美が何かを聞く前にー、リヴァイ兵長に唇を奪われた。
閉じた瞼の下で、綺麗な睫毛が血と雨で濡れていた。
頬に触れるリヴァイ兵長の手はとても温かくて、そっと重なるだけの柔らかい温もりは優しくてー。
私は、ゆっくり瞳を閉じた。
(このまま、死んでもいい…。)
廃工場で思ったのと同じフレーズなのに、どうしてこうも心の中を温かくするのだろうか。
ただ唇を重ねているだけで、ここにリヴァイ兵長と生きているだけでー。
私は今、世界で一番幸せだと信じられた。