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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第85章 ◇第八十四話◇あなたが生きているだけで…【恋の行方編】


何が起こったのか、分からなかった。
雷鳴と共に放たれた銃弾で散ると思っていた私の命は繋がれて、リヴァイ兵長の腕の中で、燃え盛る廃工場を呆然と見上げていた。
炎と熱で崩れ落ちていく建物が、まだ中にいるはずのモーリ達が逃げるのを赦さないみたいだった。

「ここも危ねぇ、逃げるぞ。」

リヴァイ兵長は立ち上がると、私の手を引いて立ち上がらせた。
手を引かれて逃げながら、私は何度も後ろを振り返る。
あのとき、私は死ぬことを覚悟した。
モーリも、本気で撃つ気だった。
でも、その直前、私の身体は宙を浮いた。力強い腕が私を抱き上げたからだ。
そして、リヴァイ兵長が、私を腕に抱いたまま、廃工場の壊れた窓から外に飛び出した瞬間、廃工場がー。

「爆発した…?」

リヴァイ兵長に手を引かれて走りながら、私は必死に状況を把握しようとしていた。
最後だと思って目を瞑っていたし、リヴァイ兵長に抱き上げられてからは、血だらけの胸板しか見えなくてよくわからなかった。
だけれど、大きな爆発音と崩れ落ちる瓦礫ー。
パーティー会場で起きたものと似ていた。
しかも、それよりも確実に大きくて、殺傷能力が大きな爆発がー。

(なんで?)

状況を把握しようとすればするほど、頭が真っ白になっていくようだった。
だって、モーリが爆発騒ぎの主犯だったはずだ。
少なくとも私はそう思っていた。
それなのに、モーリが爆発で死ぬなんてー。
それに、リヴァイ兵長はまるで、爆発が起こることが分かっていて逃げたみたいでー。
後ろから、また爆発音が聞こえた。
驚いて振り向いた私の視界の向こうで、炎の中に廃工場は崩れ落ちて消えていった。
それからどれくらい走ったか分からない。
いつの間にか森の中を走っていた。
ヒールの先が濡れて柔らかくなった土に沈んで走りづらいから、途中で脱いだ。
それでも、リヴァイ兵長は、時々、私の足を気にしながらも、止まることなく走り続けた。
廃工場は爆発して、たぶん、モーリ達は死んだ。奇跡的に無事でも、きっと重症で追いかけてこられない。
それなら、リヴァイ兵長は何から、何から逃げているのー。

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