【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第81章 ◇第八十話◇闇に紛れて消える馬車【恋の行方編】
そして、ジロジロと見てくる気持ちの悪い瞳を睨みつけてから顔を反らせば、男はそれが嬉しそうに口元を歪めた。
それで、思い出したー。
「あなた達、前にトロスト区で私に絡んできた…っ!」
「やぁーっと気づいたかよ。」
金髪の男は椅子に深く腰掛けると、面白そうに口の端を上げた。
「兵団服着てりゃ、誰にも怪しまれねぇし
雰囲気が変わるからお前にも気づかれねぇってマジだったんだな。
助かったぜ。」
「あなた達が、爆弾騒ぎの犯人なの。」
「まさか。俺達は借りを返すチャンスを貰っただけだ。
やられっぱなしなんて、俺の流儀に反するからさぁ。」
「どういうことよ。じゃあ、爆弾は何なの。あなた達とは別なの?」
爆弾騒ぎの犯人がここにいるのなら、もうパーティー会場で爆発が起こることはない。
一瞬そう思っただけに、彼らが爆弾騒ぎの犯人ではないと知り、また不安が胸を占め始める。
「言っただろ?俺達は駒なんだよ。お前を安全な場所へ連れて行くのが俺達の仕事だ。」
「爆弾犯がそう言ったの?私の知ってる人ってことなの?」
「質問には答えるつもりはねぇ。
あー、でも、それだけじゃつまらねぇから、ヒントはやろうか。」
「ヒント?」
「あぁ、そう、ヒントだ。」
金髪の男は、ジャケットの内ポケットから銃を取り出すと、それを私の額に押し当てた。
そして、睨みつける私を見て、心から楽しそうに口を開いた。
「俺達も本当はか弱いお姫様を襲うのなんて、本意じゃねぇんだよ。
指示されてってのも面白みがねぇ。報酬もたんまりもらったし、
お前を襲うのはただの副産物だ。」
「…それで、ヒントってなによ。」
「まぁ、焦るな。お前は知ってるはずだ。
悪魔を鎮める魔法の呪文を。」
「魔法の呪文?」
どこかで聞いたことのあるフレーズが、私の記憶の奥を刺激しようとしていた。
でも、いつ、どこで聞いたのか、思い出せない。