【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第80章 ◇第七十九話◇廻りだす運命の歯車【恋の行方編】
それでもを守りたくて必死に爆弾犯を探していたはずなのに、今、こうして、嫉妬の対象を責めることしか出来ないなんてー。
せめて、少しくらい、リヴァイが狼狽えていれば気持ちも違っていたかもしれないのに、いつも通りの冷静な顔をしてるから、余計に腹が立った。
「言いてぇことはそれだけか。」
せめて、何かしらの反応があると思っていた。
まるで、どうでもいいことのように自分を見るリヴァイが、ジャンは信じられなかった。
思わず言葉を飲み込んだジャンを見て、話は終わったと思ったのか、リヴァイは横を通り抜けてどこかへ行こうとする。
「に悪いと少しも思わないんですか?!」
ジャンの怒り任せの声がリヴァイを追いかけた。
すると、リヴァイは、仕方なくという様子で振り返った。
「思えば、は見つかるのか。」
「そんな屁理屈を聞いてるんじゃー。」
「俺は今、少しでも時間が惜しい。アイツになら、後からいくらでも詫びる。
てめぇの文句も好きなだけ聞いてやる。
だが、を見つけてからだ。」
リヴァイにしては早口で続けられた言葉に、ジャンは漸く口を閉ざす。
言い返す言葉がないのは、自分の方だったと気付いた。
「待て、リヴァイ。この騒動の中で闇雲に動き回るのは効率的ではない。
とりあえず、を探している精鋭兵達の報告を待て。」
「俺達が大勢集まって待ってる間、アイツはどうしてればいい?
1人でいろってことか?それとも、爆弾とお友達のクソ野郎と仲良くしとけってことか。」
「そうは言ってない。この会場の間取りは全て把握してある。
それに、 参加者リストに協力しそうな人間の名前もなかった。来るなら外からだ。
その入口も出口も精鋭兵が塞いでいる。まだ会場にいればすぐ見つかる。」
「だが、まだ見つかってねぇ。
それなのに、貴族らはほとんど外に出たらしいじゃねぇか。」
エルヴィンとリヴァイの睨み合いが始まった。
さっき、ジャンがリヴァイを見つけた時も、同じようにしていたことを思い出す。
もしかしたらー。
今、を一番必死に探しているのはリヴァイなのかもしれない。
そんなことに気づいて、嫉妬や悔しさに混じって、虚しさを感じた。
どう足掻いても、自分は蚊帳の外なのかー。