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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第78章 ◇第七十七話◇絵本の世界へようこそ【恋の行方編】


馬車が止まり、扉が開く。
エルヴィン団長に続いて、リヴァイ兵長も降りていく。
私もそれに続けば、降口で待っていたリヴァイ兵長が振り向いて手を差し出した。
驚いた後、差し出された手の向こうにパーティー会場の入口が見えて、意味を理解する。
たくさんの貴族がいる前で、しっかりと恋人の役目を果たそうということのようだ。
深呼吸をする。
これはただの演技で、リヴァイ兵長の優しさじゃない。
喜んだらいけない。ときめいたらいけない。
嫌いになった、嫌いなはずだ、嫌いにならなくちゃー。
効き目のないおまじないを心の中で繰り返して、私はリヴァイ兵長の手のひらに指を触れた。
そっと包まれた私の手を、リヴァイ兵長が引いて馬車から降りる。

「上出来だな。」

ドレスの裾に気を付けて降りると、エルヴィン団長が満足気に口の端を上げた。
リヴァイ兵長が何か言い返すかと思ったが、そんなことはなかった。
案内役の男性に促され、私達は受付へと向かう。
そこで、パーティー会場の周りに厳重な警備が配置されていることに気が付いた。
しかも、見たことのある顔ばかりー調査兵団の兵士達だ。

「どうして調査兵団の兵士が警備をしているんですか。」

私の手を引くリヴァイ兵長に訊ねた。
受付に到着し、名簿に記帳を始めたエルヴィン団長を待ちながらリヴァイ兵長が答える。

「爆弾騒ぎが解決してねぇから、一応の警備だ。」
「あぁ…、そういうことですね。」

だから憲兵団や駐屯兵団ではなくて、調査兵団の兵士が警備をしているのか、と納得する。
トロスト区での爆弾騒ぎだが、ウォール・ローゼでも起きるかもしれない。

『今は小規模な爆発しか起きていないが、今後もそうとは限らない。
 次は大きな爆発だという可能性もある。怪しい動きを見つけても突っ走るな。
 すぐに上官に報告、そして警戒しろ。』

今朝、ミケ分隊長が、爆弾騒ぎの担当になった兵士達に指示を出していた光景を思い出した。
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