【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第75章 ◇第七十四話◇好きすぎて、大嫌い【恋の行方編】
急に、雨の向こうで白んで見えた風景がフラッシュバックする。
リヴァイ兵長は、一本の傘の下でジーニーと抱き合っていた。
私に触れたことのある、あの腕でー。
「ハンジさんとナナバさんの友人がご結婚されるそうで、
その彼女にサプライズでドレスを作りたいからと
同じサイズの私の身体を測られたんです。」
「…そのどこにドレスを着る必要があるか、教えてくれ。」
「私も知りたいです。」
「…そうか。」
「リヴァイ兵長はー。」
こんなところで何しているんですか?-、言いかけて私は口を噤んだ。
いや、答えを聞かなくても、気づいてしまった。
ここは精鋭兵の多くが自室を持つフロアで、この廊下の先にはジーニーの部屋もある。
きっと、一緒に過ごしていたのだろう。
「なんだ。」
「何でもないです。おやすみなさい。」
「待て。」
頭を下げてから、横を通り過ぎようとした私の腕をリヴァイ兵長が掴んで引き留めた。
触れられるのは、慣れない。
そして、怖い。
一生、忘れられなくなりそうでー。
「痛いです。」
「あぁ、すまねぇ。」
リヴァイ兵長の手が離れて、ホッとする。
そして、その途端、また触れてほしくなる。
早く、こんな気持ち忘れたいー。
「何ですか?」
「お前、今日ー。」
リヴァイ兵長はそこまで言って、さっきの私のように口を噤んでしまった。
「今日、なんですか?」
「いや、なんでもねぇ。」
「じゃあ、私、もう部屋に戻ります。ドレス脱ぎたいんで。」
逃げるように背を向けた私に、リヴァイ兵長は思いも寄らないことを言った。
「ジャンと付き合うのか。」
思わず、私は振り返った。
リヴァイ兵長と、目が合う。
何を考えて、そんなことを私に聞いているのだろう。
本当に、ヒドイー。
「どうして、そう思うんですか。」
「アイツと一緒にいるところを見た。」
「あぁ…、私も見ましたよ。ジーニーと一緒にいるところ。
幸せそうでなによりです。」
余計なことまで口走ってしまうほど、私はいっぱいいっぱいだった。
これ以上、顔を見ていられなくて今度こそ背を向けたのに「待て。」とリヴァイ兵長の声と手が私を引き留める。
一体、何がしたいのか全く分からない。
これ以上、傷つかないっていうくらいにもうボロボロなのだ。
だからもう本当に、これ以上、傷つけないでー。