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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第75章 ◇第七十四話◇好きすぎて、大嫌い【恋の行方編】


廊下の窓を土砂降りの雨が流れて落ちていく。
明日も止みそうにはない。
窓にそっと触れると、ひんやり冷たかった。

「爆発騒ぎかぁ…。誰が担当するのかな。」

自分は嫌だなー、と思ったけれど、たぶん、私にはならないだろうという自信もあった。
たぶん、そういう物騒な事件を追いかける任務は、対人格闘が得意な力の強い兵士になるはずだ。
きっと、私は真っ先に候補から外される。

「ドレスなんて着て、なに黄昏てんだ?」

私の隣に立ったのはゲルガーさんだった。
窓の外を眺めながら、明日は訓練中止か、と残念がっている。

「ハンジさんの部屋に着替え忘れて出てきちゃったんです。
 ゲルガーさんは会議に参加しなくていいんですか?」
「ナナバが出てるからな、俺はいい。」
「そう、ですか…?」

よくわからなかったが、まぁ、問題ないということならそれでいいのだろうと無理やり納得する。
ナナバさんとゲルガーさんの班はいつも同じ任務だし、ナナバさんが話を聞けば大丈夫、というのも分からないでもない。

「今日は合同訓練、ご苦労だったな。
 まさか、リヴァイ兵長の真似まで出来るなんて驚いたぜ。」
「真似じゃダメです。
 私はちゃんと自分の技術を磨いて、体力と筋力をつけなくちゃ。」

私は自分の両手をグッと握った。
他の兵士に比べて、細い腕に細い腰。
今まではなんとかなったかもしれない。
でも、ドレスが着れるような身体じゃ、兵士はダメなのだ。
こんな身体じゃ、本当にキツいときに私はすぐに殺されてしまうー。

「あんまり気張りすぎんな。」

ゲルガーさんが、私の髪をクシャリと撫でた。
ニッと笑った口からは白い歯が覗く。
優しさに、握った拳も、私の心もほぐれていく。

「そのドレス姿が見れなくなるのも、もったいねぇしな。」

ゲルガーさんが、悪戯っぽく笑った。
それから、少し話をして、ゲルガーさんは自分の班の兵士に声をかけられて部屋に戻っていった。
もうそろそろ私も部屋に戻ろうー。
そう思って、窓の向こうから視線を離すと、廊下の向こうから歩いてきたリヴァイ兵長と目があった。

「そんな恰好で、何やってる。」

眉間に皴を寄せて、リヴァイ兵長は私を怖い顔で見た。
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