【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第69章 ◇第六十八話◇懐かしい腕【恋の行方編】
納得は行かないけれど、エルヴィン団長の指示ならば諦めるしかないかー、そう思っていると、扉が開いた。
ノックも無しに部屋に入ってきたのは、リヴァイ兵長だった。
私を見て少し驚いた顔をしたけれど、すぐに視線は私から外れてハンジさんの方を向く。
「エルヴィンから預かってきた。資料の確認だ。」
「またぁ~?嫌だなァ…。」
「得意だろ。」
「どこがだよっ。文書仕事なんて一番嫌いでー。」
リヴァイ兵長から資料を渡されて、ハンジさんは大きくため息を吐いた。
仕事の話を始める様子だし、私は出て行った方がいいだろう。
明日は、テュランには兵舎の散歩で諦めてもらおう。
「あの、それじゃあ、私は失礼します。」
「あ!待ってっ!!」
部屋を出て行こうとした私をハンジさんが引き留めた。
「何でしょうか?」
私はハンジさんに訊ねた。
だが、ハンジさんは、私ではなくてリヴァイ兵長に話しかけた。
「ねぇ、リヴァイ。明日は非番じゃなかったっけ?」
「なんで、てめぇが俺の予定を知ってんだ。気持ち悪ぃ。」
「それならさっ!をウォール・ローゼの草原に連れてってあげてよ。」
「を?」
訝し気なリヴァイ兵長の顔が振り向いて、私を見た。
「テュランをお散歩に連れて行きたいんだって。
でも、エルヴィンにお出かけ禁止令だされちゃってさ。
リヴァイとなら許可貰えると思うし、どうせ暇でしょ?」
「まぁ、別に構わねぇが。」
断ると思ったのに、リヴァイ兵長が了解するから驚いた。
「大丈夫ですよっ。リヴァイ兵長のせっかくのお休みを私なんかのために使うのは勿体ないですっ。
明日はテュランと厩舎近くの広場で遊ぶので、気にしないでください。」
笑顔で言って、私は頭を下げると今度こそ部屋を出た。
甘えたいー、リヴァイ兵長と一緒にいられるなら惨めでもいいじゃないかー。
私の恋心の声は無視した。
だって、彼女は本当はこの世に存在してはいけない存在だから。
早く、この世から消えないといけないからー。
「あれ?今度はリヴァイがに嫌われちゃったの?」
「そうかもな。」
「そうなのっ!?」
ハンジさんがまたおかしな勘違いしたことを知らない私は、笑顔を貼り付けたまま部屋に帰った。