【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第68章 ◇第六十七話◇シュトレンと恋心【恋の行方編】
少しすると、リヴァイ兵長が紙袋を下げて出てきた。
そして、紙袋の中から何かを取り出すと、それを私に投げてよこした。
「今日の褒美だ。やる。」
慌てて受け取った私は、リヴァイ兵長にそう言われて、改めて手の中にあるものを見た。
「あ。」
私が欲望だらけのおねだりをして失敗した美味しそうなお菓子だった。
兵団のお金ではダメだと断られたから、これはリヴァイ兵長自身が買ってくれたのだろう。
「ありがとうございます。」
私の小さな手の中におさまった小さな甘いお菓子が、急にとても愛おしくなる。
そして、憎らしくもなるー。
「でもー。
これからはもう、こういうことはしなくていいですよ。」
私の言葉に、リヴァイ兵長は訝し気に眉を顰めた。
せっかくの好意だというのは私も分かってる。
でも、リヴァイ兵長は女心を何も分かってない。
「リヴァイ兵長と私は、ただの上司と部下だから。」
私はそれで平気ですよーそんな気持ちを込めて、私は精一杯の笑顔を作った。
リヴァイ兵長の好きな紅茶の葉ばかりが入った紙袋を握る私の手に、力が入ってることにだって、きっと気づいてはもらえないのだろう。
でも、それでいい。
それが、いいー。
「あぁ、そうだな。」
リヴァイ兵長の呟くような声を聞いてから、私は1人で歩きだす。
甘いお菓子は紅茶の葉の入った紙袋に入れた。
きっと美味しいんだろう。
でも、私はリヴァイ兵長の前で、美味しいと笑える自信は、ないー。