【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第67章 ◇第六十六話◇ただの上司と部下【恋の行方編】
なんだかんだとハンジさんの仕事の手伝いをしていたら夜になっていて、今日は一度もテュランの顔を見ていないことを思い出した私は、夕食の後、厩舎に来ていた。
一日一回は必ず会って、ブラッシングをしたり、話をしたりー、そうして愛馬と心を通わせるのはとても大切なことだとナナバさんも言っていた。
それに、今では一日一回会うのが日課になっていて、会えないとなんだか寂しいのだ。
思い上がりかもしれないけれど、テュランも私の姿を見つけると嬉しそうな顔をしてくれる気がする。
「今度のお休みは散歩にでも行こうか。」
テュランの鼻のあたりを撫でてやれば、嬉しそうに目を細めた。
気持ちがいいらしい。
今日は寝るまでテュランのそばにいてやろうかなー。
そんなことを思って、近くに椅子を引いて持ってきて腰をおろした。
今夜も月が出ていて、夜空が明るい。
幾千の星達は、とても気持ちが良さそうに空を飛んでいるように見える。
「あれ?さん、何してるんすか?」
後ろから声をかけられて振り返ると、馬の餌を入れた麻袋を持ったジャンがいた。
明日の朝の分の餌を今のうちに持っていくように先輩兵士に頼まれたらしい。
簡単に言えば、使われた、ということだろう。
面倒くさそうな顔で教えてくれた。
「わざわざ、こんな時間に馬に会いに来てやるなんて、優しいっすね。」
麻袋を餌庫に持って行ったあと、ジャンは私の隣に椅子を持ってきて座った。
ジャンの愛馬が、テュランの隣にいるスマートな顔をしたこげ茶色の馬なのだそうだ。
「テュランね。一日一回は会わないとなんだか寂しくて。」
「へぇ~、そんなもんですかねぇ。」
「ジャンもあんまり放っておくと、壁外で置いてきぼりにされちゃうよ。」
「それは勘弁です。」
ジャンは苦笑すると、立ち上がって自分の愛馬の首のあたりを撫で始めた。
ちゃっかりしているところがジャンらしくて、私は心の中でこっそりと笑う。