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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第62章 ◇第六十一話◇閉じるしかなった心の扉【恋の行方編】


客人用の部屋といっても、出張でトロスト区の調査兵団本部にやってきた兵士が泊りに使う部屋だからか、とても質素なものだった。
でも、寝て起きるだけなら充分だとアニは特に気にする様子もなく、荷物を棚の上に置いた。
そして、私の部屋でもそうしていたように、私とアニは隣に並んでソファに座った。

「そういえば、さっきのジャンは何だったの?」
「今度の壁外任務が危険って聞いて心配してくれたみたい。」
「へぇ、アイツが他人の心配ね。調査兵団に入るとか言い出すし、
 変わったんだね。」
「そういえば、ジャンは憲兵になりたかったんだってエレンも言ってたな。」
「そう、それでよくエレンと喧嘩してたんだけどね。
 まさか、アイツまで調査兵団に入るとか言い出すとは思わなかったから驚いたよ。」

そう言って、いつもは私が振る話題に答えることの多いアニが、ポツリ、ポツリ、と104期との訓練兵時代の思い出話を始めた。
エレン達からも聞いたことがある話も合ったけれど、アニから見た彼らの姿というのはまた違う一面もあって、面白かった。

「アタシさ、絶対に故郷に帰りたいんだ…。どんなことをしても。
 誰を、傷つけても。」

たくさんの思い出話を聞いた後、アニは最後にそう呟くように言った。
小さな声だったけれど、その決意を乗せた音はとても重たく、私の胸にしっかりと届いた。
確か、前に話を聞いた時に、アニの故郷はウォール・マリア南東の山奥の村だと言っていた。
巨人に奪われた自分の故郷に帰りたいー彼女の強い願いが垣間見えて、私は胸が苦しくなる。

「大丈夫、きっと帰れるよ。
 ちゃんとアニが自分の家に帰れるように、私、頑張るから。
 安心して待っててね。」

アニの髪をクシャリと撫でると、一瞬、泣きそうに口元が歪んだ。
でも、それはほんの一瞬で、すぐに「ありがとう。」と小さな声が返ってきた。

「アニと同郷の友達はいるの?」
「あー…、ライナーとベルトルトがそうだね。」
「へぇ、そうなんだ。だから、さっき、アニを見つけて話しかけてきたんだね。」
「まぁ、そうかもね。」

アニはあまり興味なさそうに言う。
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