【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第61章 ◇第六十話◇星のない夜【恋の行方編】
!!起きて!!ー。
私の耳元で、ルルの声が聞こえた気がした。
そういえば、壁外調査当日の朝もルルがそうやって起こしてくれて、私を悪夢から救ってくれたなー。
そっと目を開けたら、ぼんやりとした視界の中で談話室を出て行く兵団服がチラリと見えた。
「んー…。」
窓にもたれかかっていた身体をゆっくりと起こした私は、肩から掛けられているブランケットに両手が隠れていることに気が付いた。
眠ってしまう前に私が握りしめていた兵団マントは、座っている本棚の上に綺麗に畳んでおいてある。
(…ルル?)
起きる前に聞こえてきた気がするルルの仕業かと思った。
でも、まさか、もし本当に隣にいつも彼女がいてくれるのだとしても、ブランケットをかけたり、兵団マントを畳んだりできるわけない。
「紅茶?」
兵団マントの隣にティーカップが置いてあることに気が付いた。
持ってみるとまだ温かくて、僅かに湯気が出ている。
ふわりと私の鼻に届く甘い香り。
私は、この紅茶の香りを知っていたー。
「…!」
本棚から飛び降りて、走った。
寝起きに見た気がする、談話室から出て行く兵団服の後ろ姿。
ジャケットがチラリと見えただけだけれど、もしかしたらー。
もしかしたらー。
それは、希望的観測なのかもしれない。
でも、違うかもしれない。違うかもしれないからー。