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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第60章 ◇第五十九話◇雨の日の兵士の憂鬱【恋の行方編】


「さんっ!」

しばらく雨宿りをしていると、傘を持った調査兵が駆け寄ってきた。
傘と雨で顔が良く見えないが、おそらくー。

「ジャン!どうしたの?」
「さんが買い物に出てるから傘持って行ってやれって頼まれて。」

隣に立ったジャンは、そう言うと自分がさしている傘とは別に持ってきた傘を私に渡した。

「助かった~。ありがとうっ。 
 ハンジさん、雨が降って巨人実験が中止になったショックで
 私のことなんて絶対に忘れてると思ってたよ。」

私は困ったように笑う。
このまま雨が止むまで待つか、もしくは、濡れるの覚悟で走って帰るかー悩んでいるところだったから、本当に助かった。

「いえ、ハンジ分隊長じゃなくて…。」
「ハンジさんじゃないの?あー、モブリットさんか。」
「…えーっと、そうっす。モブリットさんっす。」

ジャンに教えてもらって、それもそうかと納得する。
やっぱり、ハンジさんは巨人実験のことで頭がいっぱいで私のことなんて忘れているのだろう。
それも人類のために必死に戦うハンジさんらしい。

「じゃあ、行きましょうか。
 それ、俺が持ちますよ。」

大丈夫だよー、と断る前に、ジャンは私の腕の中から買い物袋を取り上げた。
おまけをたくさん頂いたおかげで重たくなって、私が両手で抱えていたそれを、ジャンは軽々と片手で持っている。
身長だって私よりも大きくて、この前の追いかけっこでもジャンの方が足が速かったし、体力もあった。
兵士として必要な体力や筋力、身体の作り、そのすべてがジャンの方が私よりも断然上回っているのだな、と改めて実感する。

「どうかしました?」
「ううん、なんでもないの。荷物、ありがとうね。助かったよ。」
「どういたしまして。 
 じゃあ、行きましょうか。」

軒下を出ると、傘を叩きつける雨音がうるさく喋り出した。
今日は特に激しい雨だ。
なにも一度晴れ間を見せてから、こんな雨を降らさなくてもいいのにー。

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