【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第58章 ◇第五十七話◇不穏のはじまり(下)【恋の行方編】
(あのクソ女。俺のもんにならねぇなら調査兵団ごとぶっ潰してやる。)
心の中で悪態を吐いて去っていこうとするクローテの肩を誰かに掴まれた。
驚いて振り返ると、あの優男が端正な顔を美しく歪めて笑みを作っていた。
「を困らせるようなことしたら、
人類最強の兵士に殺される前に、俺が君の人生をぶっ壊すからね。」
優しい声色と綺麗な笑顔なのに、目だけが笑っていない。
この男は普通じゃないー。
背筋がゾクリと冷える。
こういう輩をクローテは何度か見たことがあった。
自分の利益のためなら、平気で他人を蹴落とすことが出来る心のない悪魔はどの世界にもいるものだ。
そういう悪魔に人生を壊され、死ぬよりもツラい地獄に突き落とされた仲間を知っている。
まるでデジャヴのように、クローテは必死に首を縦に振った。
やっぱり、どんなにいい女に見えても、壁外に喜んで飛び出していくような頭のおかしい集団とは関わらない方がいい。
頭がおかしい男どころか、悪魔まで出てきやがるー。
ブルブルッと身体を震わせて、クローテはその日、早めに屋敷に戻った。