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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第58章 ◇第五十七話◇不穏のはじまり(下)【恋の行方編】


ワインの染みが広がっていくクローテのタキシードを前に、はどんどん顔色を悪くしていった。
自分からぶつかって、わざとワインをこぼしておいて申し訳ないが、このままのせいにさせてもらうつもりだ。

「あらら~。これ、すっげぇ高いのに。
 どうしてくれんの?」
「ごめんなさい…っ。弁償を…!」
「出来んの?出来ないよねぇ~。たかだか下っ端の兵士なんかじゃ。
 まぁ、アンタのとこの団長さんだって無理だと思うけどね。」

意地悪く口元を歪め、クローテはを見下す。
絶望に歪む綺麗な顔を上から見下ろすのは、こんなに気持ちがいいものなのか。
これなら、何度だって経験したいものだ。

「君が自分からぶつかってきただろ。
 言いがかりはやめてくれないかな。」

あの優男がの肩を守るように抱いた。
ナナバとか言ったか。
本当にコイツは邪魔だ。
は今から自分のものになるのに、勝手に触っているのも許せない。

「はぁ?俺がやったって証拠はあるのかよ?
 そっちこそ言いがかりはやめてくれよ。
 こっちは出るとこ出てもいいんだぜ?」
「ナナバさん、あんまり騒ぎを大きくしたら、調査兵団に迷惑が…っ。
 ここは、私がちゃんと言う通りにしますから。」
「ほーら、はよくわかってるな。
 褒めてやる代わりに、弁償しなくてもいい優しい案を提案してやろうじゃねぇか。」
「優しい案だと?」

訝し気に眉を歪めたのはナナバだった。
はナナバの片腕に抱かれて、不安そうにその胸に手を添えている。
本当に腹が立つ。
その細くて綺麗な手も、あるべきはそこじゃない。

「お前、俺の女になれ。」
「え?」
「調査兵団なんて頭の悪い集団をやめて、俺のものになるっていうなら
 許してやってもいいぜ。」

思ってもいなかったらしい提案に驚き目を見開くを見下ろし、クローテはニヤりと口元を歪めた。
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