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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第55章 ◇第五十四話◇魚も溺れる夜【恋の行方編】


「すきにして、いいよ。」

自分の身体を支えるためにベッドに落ちていたジャンの手を捕まえて自分の手を重ねると、指を絡めた。
ようやく私の瞳に繋がっていた鎖が解けたみたいに、ジャンの視線は私の手と繋がった自分の手に移った。
その手を招くように引っ張って、私は自分の胸に持って行く。
行きつく先に気づいたらしいジャンの手は、一度ビクリと揺れて離れていこうとしたけれど、悪い魔法が解けることはなかった。
私の胸の上に乗ったジャンの手にゆっくりと力が入っていくのを感じる。
まるで得体のしれない怖いものでも触るみたいに、恐る恐る弱い力から始まったそれは、何度か繰り返したあと、新しいおもちゃを手に入れた子供みたいに、手に力を入れては弱めて、自分にはない独特の柔らかさを楽しみだした。

「ん…っ。」

ジャンの手のひらが布の上から胸の突起をこすって、思わず声が漏れた。
それに驚いて、ジャンの手の動きが止まる。
それから、もう一度、ジャンの視線と私の視線が絡まると、悪い悪戯を覚えてしまったジャンの手が、また胸に刺激を与えようと荒々しく動き出した。
乱暴なのに、どこか怯えているような不慣れな手つきを感じながら、絡まる視線の距離が少しずつ近くなっていく。

(ほら、ジ・エンドなのは、私じゃない。)

ぼんやりとした意識の中でそんなことを思いながらジャンの瞳を見上げる。
ペトラがどんなつもりで、新兵を誘惑したら、なんて言ったのかは結局わからないけれど、私がジャンを悪い大人の遊びに誘ってしまったのは、私の勝手な都合以外にない。
私は知りたかった。確かめたかった。
悪いのは、私だと。色気がないから、欲情してもらえなかっただけだと。
違う。リヴァイ兵長が私のことを何とも思ってないからじゃないー。
そういう証拠が欲しかった。
賭けに負けた私は、今から好きでもない男に抱かれる。
これは、最低な私への罰で、そんな私に付き合ってくれたジャンへのご褒美。
だから、ジャンは私の身体を好きにする権利がある。

「ぬがせて…。」

唇を重ねようとしていたジャンの頬を撫でた。
ピタリと動きを止めたジャンは、近づいていた身体をゆっくり離していった。
乱れた私のシャツを改めて瞳に映して、さっきもそうしたみたいにゴクリと生唾を飲み込んだ。
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