【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第54章 ◇第五十三話◇気づかれない思惑【恋の行方編】
ほんの少し前髪が短くなっただけで、とても可愛いねと言ってくれたルーカスのことだから、もし彼がここにいたら、今のベルトルトよりもずっと早く、会った瞬間にこのブレスレットに気づいてくれたのだろう。
「ありがとう。
でも、これは、アニのイメージで買ったのよ。」
私は自分の左手首に飾られている赤いブレスレットを見ながら、素直じゃないけれど優しくて可愛いアニのことを思った。
今頃、彼女は憲兵団施設でどうしているのだろう。
今度、手紙でも送ろうかなー。
「アニ?
…って僕たちと同期のアニのことですか?」
私とアニが知り合いだと知ったベルトルトは驚いた様子だった。
対人格闘に興味を持った私が、アルミン達から仲間内で一番得意だったと聞いたアニに会いに行った話をしたら、さらに驚いていた。
仕事の合間に、わざわざ対人格闘を習いに行く人がいるなんて思わなかったと真面目な顔で言われて、それもそうかと苦笑する。
でも、そのおかげで私はアニと知り合えた。
生きて帰ってきた私に、ホッとした顔で、けれども素っ気なく「おかえり」と言ってくれる人がいる。
それは、私にとってとても大きな力になっている。
「これは、アニとお揃いなの。
クールなのに、目の奥にすごく熱い意志を持ってる強いアニのイメージの赤なの。」
「あぁ…、なんか分かる気がします。」
「でしょう?」
ベルトルトに同意してもらえて、私は嬉しくなった。
「さんは、アニのことよくわかってるんですね。」
「ん~、そんなに分かってないと思うよ。あんまり心開いてくれないしね。
でも、アニは意地っ張りで天邪鬼でとっても優しくていい子ってことと
私はアニが大好きって、それだけ知ってたら充分かな~って思うの。」
「そうですね。充分だと思います。」
そう言ったベルトルトもなんだか嬉しそうに見えた。