【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第52章 ◇第五十一話◇アニと不思議な話【恋の行方編】
夕日が出始めた頃、私とアニは憲兵団施設に戻ってきた。
だが、ザックレー総統の到着が遅れたとかでリヴァイ兵長の仕事が長引いているらしい。
一緒に来た上官を待つという私に付き合ってくれているアニと一緒に、ロビーのソファに並んで座った。
「楽しかったね。」
「アンタはね、私は疲れた。」
これ見よがしにため息を吐くアニを見て、クスリと笑う。
物欲はないのか、何も買わず私の買い物に付き合うだけだったけれど、一緒に買い物をしながら、アニの表情も少しずつ柔らかくなっていくのを感じていた。
「ストヘス区にある店のこと、よく知ってんだね。」
「あぁ…、昔の恋人がね、ストヘス区に住んでたの。
それで、時々、こっちでもデートさせてもらってたから。」
そこまで興味なさそうに訊ねたアニだったけれど、私の返答は意外だったのか少し驚いた様子で顔を見た。
「ここにいるのなんて、憲兵か貴族くらいじゃないの。」
「その貴族だったの。」
「へぇ~、アンタが貴族の恋人ね。」
「そんな感じするでしょ?」
「正直に言ってほしいの?」
「やめておく。」
顔の前で作ったバツに、アニが綺麗な形の唇で小さな笑みを作った。
少しずつだけれど、冗談を言い合えるようになってきた。
面倒くさいと言いながら、こうして一緒にいてくれるのが嬉しかった。
昔の恋の話や、アニの好きな人を聞き出そうとして失敗したりしたけれど、なかなかリヴァイ兵長の会議は終わらないようだった。