【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第50章 ◇第四十九話◇お手伝い【恋の行方編】
翌日から、私はリヴァイ兵長の執務室で書類のお手伝いをさせてもらっていた。
一度は断ろうとしたリヴァイ兵長だったけれど、デスクの上に山積みになっている書類を見て気持ちが変わったらしい。
あまり執務が好きではないらしいリヴァイ兵長は、そもそも書類を溜めこむタイプではあるけれど、今回ばかりは、右手を負傷している。
ローテーブルに並んで座ったリヴァイ兵長は、不要に動かさないように医療兵から指示が出ているということだったので、指示だけを出してもらうようにお願いした。
「そこは結果だけ簡単に書いてれば問題ねぇ。」
「はい、わかりました。」
代わりにペンを握る私に、リヴァイ兵長は書類を覗き込みながら指示を出す。
必然的に距離が近くなって、息遣いまで耳元に聞こえてくるから、ドキドキして震えそうになるペンをしっかり握ることに意識を集中する。
「それで問題ねぇ。
疲れたな。休憩にするか。」
リヴァイ兵長の一言に、いろんな意味でホッとした。
「思ったよりも早く終わりそうですねっ。」
嬉しくなって、私はリヴァイ兵長を見て、息を止めた。
思ったよりも近い距離に、リヴァイ兵長の驚いた顔があって焦る。
「紅茶っ、淹れてきますねっ!」
慌てて目を反らした私は、逃げるように給湯室へ向かった。