【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第49章 ◇第四十八話◇ポジティブシンキング【恋の行方編】
リヴァイ兵長はそう言うけれど、結構深い傷だったとハンジさんを問いただして教えてもらっている。
あの日、私は、謝るどころかちゃんとお礼すら言えなかった。
「ペトラに聞きました。傷が治るまでは訓練以外にも
右手を使うことは極力しないように言われてるって。」
「あぁ、おかげで身体がなまってどうしようもねぇ。」
「私、知らなくて…。この前、立体起動装置で壁の上に行ったときも
怪我してることは知ってたのに、何も考えてなくて本当にすみません。
傷、痛みましたよね。」
「お前が心配することじゃねぇ。」
リヴァイ兵長にキッパリ言われてしまう。
だが、かけてしまった迷惑はそれだけではない。
「ルルのご両親のこと、不問になるように憲兵団にとりあってくれたと聞きました。
私からもお礼を言わせてください。
本当に、ありがとうございました。」
私はもう一度、深く頭を下げた。
どんな事情があろうとも、兵士を殺そうとした上、人類の宝であるリヴァイ兵長に大けがを負わせたのだ。
クレーデル夫妻の心情は察知してもらえても、あの状況では本当は罪を問われるはずだった。
だが、怪我を負わされたリヴァイ兵長が憲兵団に掛け合ってくれたおかげで、今回のことは不問としてもらえたのだと、これもペトラから聞いた。
「面倒くせぇのが嫌いなだけだ。」
リヴァイ兵長はまた素っ気なく言う。
でも、いろいろと迷惑をかけ、怪我も負わせてしまったのだ。
このまま、頭を下げるだけでは気が済まない。
「もしよかったら、その書類、お手伝いさせてもらえますか?」
私はデスクの上で山積みになっている書類を指さした。
この書類の量だと、残りの休暇をすべてつぎ込むことになりそうだ。
アニに会いに行くのは、諦めるしかないが、次の非番のときでもいい。
明日は朝から好きな人と一緒にいられるのだと、オルオを見習ってポジティブシンキングで考えることにした。
私の言葉を聞いたリヴァイ兵長は、一度は断ろうとしたように見えた。
だが、デスクの上に溜まっている書類に視線を移した後、何か考えるようなそぶりをしてから口を開いた。