【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第45章 ◇第四十四話◇ようやく届いた声【調査兵団入団編】
お礼を言いたいのは、私の方だった。
恋の相談だってしていたのはいつも私の方で、ルルだって好きな人がいたのを知っているのに、自分の話はいつだってはぐらかして。
いつだって私の応援をしてくれていた。
私が、彼女にしてあげられたことなんて、何も思い浮かばないのだ。
「もし、自分のせいで私達の娘を奪ってしまったと思っているのなら、
私達のお願いを聞いてくれないか。」
父親にそう言われて、私はゆっくり顔を上げた。
優しいその表情は、ルルに似ている気がした。
いや、きっと、ルルが彼に似たのだろう。
「どうか、ルルのことを忘れないでやってほしい。
そして、ルルが残した声をしっかり胸に刻んで、そして生きてほしい。
ルルが望んだように、君の好きなように、生きてほしい。」
ルルの分までー。
最後まで優しいルルの父親の声色は、とうとう震えだして、流れる涙が語っている。
ルルに生きていてほしかったのだと、どんな苦労も厭わないほどに愛する娘に、会いたくて会いたくて仕方がないのだとー。
「ルル…っ。」
私は泣き崩れた。
ルルが残した声、この世で一番優しい手紙を胸に、大切に大切に抱きしめてー。
「うぁ…、うぁああ…-!」
枯れるほどに声を上げて、私は泣いた。
ずっとずっと奥の方で隠れていた涙が、私の瞳から、あとからあとから溢れて止まらない。
私はずっとこんなに泣きたかったのかと驚くくらいに。
ねぇ、ルル。私からもあなたに伝えたいことがある。
私もね、ルルが大好き。
とても大切な親友だよ。
私のために戦ってくれなくても、私を残して逃げてほしかったくらい。
私は、ただただルルに生きていてほしかった。
それくらい、大好きだったんだ。大好きなんだよ。
『私はいつだって世界で一番のの味方だよ。』
優しいルルの声が、聞こえた気がした。