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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第45章 ◇第四十四話◇ようやく届いた声【調査兵団入団編】


手紙を持ったまま、私は立ち尽くしていた。
息をすると、私の身体が崩れ落ちてしまいそうな気がして、苦しい。
壁外調査前日、夜中を過ぎてもデスクに向かうルルは家族に手紙を書いているのだとばかり思っていた。
あれは、私に宛てた手紙を書いている背中だったのか。
ルルは、調査兵団に入団した時からずっと、私のためにいつか死ぬと決めてー。

「私が初めてルルに会ったときから、彼女はを守る兵士になりたいと言っていたよ。
 私の忠告も聞かないで、巨人捕獲作戦にもが参加するなら自分も参加すると勝手に決めてね。
 本当に君達は、とんでもない兵士になりたがるところなんてそっくりだよ。」

呆れたように言っているのに、ハンジさんの声はすごく優しかった。
ハンジさんは、ルルの覚悟を知っていたのか。
なにが第二の人生だ。
なにが自由に生きたから悔いがないだ。
私のために調査兵団になって、私のために死んだくせに。
私には自分のために生きろとか言っておいて、ルルは全然自分のためじゃないじゃないか。
他の誰かのために命を捨てるつもりで壁外調査へ出るなんて、そんな覚悟どうやったら出来るんだろう。
そんな強さがあるのなら、私はただー。
私のためだというのなら、私はただー。

「馬鹿な娘よね。親も、せっかくできた大切な友人も悲しませて、
 自分は満足して死んでいくなんて…っ。
 本当に馬鹿で…、優しくて…っ、強い子だったのね…っ。」

ついに涙が溢れだしたルルの母親がすすり泣く。

「私達は娘に、勇敢な兵士になんてなってほしくなかったんだ。
 情けなくてもいい、ただ生きていてほしかった。
 でも、ルルは違ったんだな。」

ルルの父親は、ゆっくりと歩み寄ると、そっと私の頭を撫でた。

「ルルの命を救ってくれてありがとう。」

喉の奥が詰まって、声が出ない。
優しいルルの父親の声に、私は首を振ることしかできなかった。
だって、結局、私はルルの命を奪った。
私は今、ルルの代わりに生きている。

「ルルの親友になってくれてありがとう。」
 
私はまた必死に首を振る。
それしか、出来なかった。
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