【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第43章 ◇第四十二話◇優しい声の使者【調査兵団入団編】
場所を変えようとハンジさんに言われて、戸惑いながらも私は彼らに従った。
いや、心は怖がって逃げようとしていたのに、身体が勝手に彼らに従ったというのが正しいと思う。
とにかく、心と身体の気持ちがバラバラのまま、馬車に乗せられてやってきたのは、数年前まで憲兵団が使用していたという古い施設だった。
憲兵団のものだっただけあって、もう数年使っていないにもかかわらず綺麗な施設で、案内された部屋も高価そうなソファやテーブルが置きっぱなしになっていた。
「これを、読んでやってほしい。」
ルルの父親はジャケットの内ポケットから1通の手紙を取り出した。
戸惑いながら、手紙を受け取る。
既に封は切られていて、誰かが読んだあとの手紙のようだった。
ルルの父親が持っていたから、彼が読んでから私に渡したのか。
彼の手に渡った手紙をどうして私に読んでほしいというのか分からず、困惑しつつも、彼に促されるまま、中に入っている便箋を取り出した。
(これ…。)
見覚えのある便箋だった。
壁外調査の前日、ルルがクリスタから貰ったと喜んでいた便箋。
右下に描かれている天使の羽が、リヴァイ兵長からもらったティーカップの天使の羽に似ていて綺麗だと思った。
ということは、これはルルが両親に宛てた手紙ということか。
そう思いながら、クリスタの顔を見ると、まるでその合図を待っていたかのように彼女が口を開いた。
「壁外調査に出る前に、
便箋を持ってないかってルルさんに聞かれたんです。
-さんに似合うような綺麗な便箋がいいって。」
「私に?」
首を傾げ、私は封筒を裏返した。