【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第41章 ◇第四十話◇それぞれの眠れない夜【調査兵団入団編】
『やめるな。』
もし、リヴァイがそう言って引き留めたら、はどうするのだろう。
兵団を去ることをやめるだろうか。
なんとか踏みとどまり、リヴァイの隣で、地獄に立ち向かおうとするだろうか。
(私がここでを引き留めたら、リヴァイ兵長は喜ぶかな。)
ふと、そんなことを考えて、ペトラは小さく首を横に振る。
違う。リヴァイが本当に望んでいるのはそういうことじゃない。
彼もきっと、が調査兵団に残り傷つくことなんて望んでいない。
やめてほしいと思っている。
だから、絶対に引き留めたりしない自分にを託したのだろう。
その理由が、あまりにも残酷で、ペトラは唇を噛んだ。
「もし、もしもだよ。
リヴァイ兵長に伝えたいことがあるなら、ちゃんと自分から行かなきゃダメだよ。
わかった?」
少しして、はコクリと頷いた。
どうするのだろう。
彼女は、リヴァイの元へ向かうだろうか。
そして、目の前に現れたに、リヴァイは最後に何を伝えるのだろう。
今夜は自分も眠れなさそうだー。
ペトラは、今度こそを抱きしめた。
頑張った、は精一杯頑張った。
(壊れた心ではなくて、私はの功績を褒めてあげたいよ。)
こんな混沌とした世界で、最も優しい兵士がこの世から去るのを惜しむように、その夜はゆっくりと過ぎていった。