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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第40章 ◇第三十九話◇会いたい…【調査兵団入団編】


(あぁ、そうか…。)

は泣かないようにしていたわけではなかった。堪えていたわけでもなかった。
自分を癒すための悲しみ方、泣き方が、分からなくなっていたのか。
の心は、元々壊れる寸前だったのかもしれない。
そこに親友の死。しかもそれは自分を助けるためで、死に行く親友の姿を目の当たりにしてしまった。
これで、心が壊れないのが、兵士なのかもしれない。
そんなの人間じゃないと罵られても、人類のために捧げた命を全うするのが兵士であって、結局は兵士になりきれていなかったは要らないというエルヴィンの考えが正しいのかもしれない。
でもー。
兵士の中に、人間らしいがいるから、兵団内が明るくなっていったー、ハンジはそう感じていた。
これからも、は様々な意味で調査兵団を明るく照らす光になるのだと信じていた。
エゴだと分かっている。

『同じ壁の中にいても、違う世界で生きてるやつもいるんだな。
 調査兵団に入れるべきじゃなかったのかもしれねぇ。』

いつだったか、リヴァイが言っていた言葉を思い出した。
その通りなのかもしれない。
本当はもっと早く、心が壊れてしまう前に、を解放してあげないといけなかったのかもしれない。
そうすれば、ルルもー。
自分の判断を後悔しているのは、調査兵団に所属する兵士全員なのだろう。
あのとき自分がー、そうすれば仲間はー、繰り返される後悔の中で、ハンジは拳を握りしめる。

「会いたい…っ。」

ハンジに抱き着き、が漏らした声。心の声。
それが彼女の本心だ。
死にたいわけでも、自分を責めたいわけでも、誰かを、世界を憎みたいわけでもない。
ただ大切な人に会いたいだけ。
だから、私達は、彼女の願いを叶えられないー。
ハンジは、を抱きしめた。強く、強く、抱きしめた。
小さく震える彼女の身体、こんなにも小さくか弱かったのか。
彼女の背中に、自分は何を乗せようとしていたのだろう。
もう、解放させよう。
ハンジが腕の中で震えるを抱きしめながらそんなことを考えていたとき、リヴァイは両の拳を握りしめていた。
まだ塞がっていない傷が広がり、包帯に血を滲ませる。
それでも、まるでそれが自分への戒めだとばかりに、リヴァイは両の拳を強く握りしめ続けていた。
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