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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第39章 ◇第三十八話◇仇【調査兵団入団編】


部屋の主を今か今かと待ちわびていたミケ、ナナバ、ゲルガーは、戻ってきたハンジの表情を見てすべてを悟った。
の退団が受理された。
もう二度と、彼女の勇士を見ることは叶わなくなった。

「弔い式を待って、は兵団を去ることになった。
 彼女にも伝えてきたよ。」
「そうか。」

ミケは短く返事をしたっきり、口を開かなかった。
壁外調査初日にが奇行種2体を同時に討伐しているのを偶然目にした彼もまた、彼女の技術に人類の希望を見たひとりだった。
リヴァイよりも筋力や体力は大幅に劣る。だが、技術だけを見れば、それは完全にリヴァイのコピーだったー、とその日の会議で珍しく熱く語っていたのが遠い昔のように思える。
が持ち前の運動神経と動体視力でたった1人の兵士の真似をして巨人を討伐していたことを知ったあの日、ハンジが抱いた夢のような妄想。
それが、現実になろうとしていた矢先だったのだ。
悔しくてたまらない。

「の様子はどうだった?」
「相変わらず、だよ。死んだような目で淡々と雑務をこなしてた。
 退団の日が決まったと伝えたら、そうですか、と頷いただけ。」
「そう…。」

ナナバは僅かに目を伏せた。
組んだ腕の先で小刻みに動く指は、苛立ちを隠しきれていない。
どうしてこんなことになったのか。
自分達はどうにかしてこの事態を避けられなかったのか。
ずっと考えているけれど、答えなんて出るわけもなく。
いつだってこうなのだ。
何が悪かったのかを考えたところで、亡くなった命はもう二度と戻ってこない。
それでも考えずにはいられない、失った仲間達みんなで笑い合っていたはずの未来をー。

「どんな気持ちで、ルルの身体を探してたんだろうな…。
 生きてることがつれぇアイツに、俺は何も言ってやれなかったよ。」

ドカリとソファに腰を下ろしたゲルガーは、投げ出した自分の足の先を見やる。
任務中に戦死した仲間の遺体だけでも連れて帰りたいという気持ちは、痛いほどに分かる。
帰還命令の直前、夜明け前にこっそりと抜け出した数名の兵士達が、巨大樹の森へ向かってしまった気持ちも分からなくもない。
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