【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第29章 ◇第二十八話◇友人の応援【調査兵団入団編】
ペトラの前に置いた皿の上にペトラが選んだパンを乗せて、あとの2皿には残りのパンを1つと2つに分けて乗せた。
トレイの上に皿を並べた後、淹れたての紅茶も同じように、1つはペトラの前に置いて、残りの2つはそれぞれのトレイに乗せた。
「もう1つはルル?」
「ううん、リヴァイ兵長に持っていこうと思ってね。」
「兵長に?」
「私のせいでリヴァイ兵長も帰りが遅くなっちゃったから。
それで食事までなかったら、申し訳なくて。」
「リヴァイ兵長も一緒だったの?」
「カラネス区偵察の帰りだったらしくて、偶々会ったの。」
トレイの準備が終わり、慎重に持ち上げようとして、キッチンでの勘違いについて思い出した。
ペトラに話したら、きっと、変な勘違いだと可笑しそうに笑ってくれると思った。
「この前、キッチンでティーカップ割ったとき、実はね。
リヴァイ兵長がペトラにキスしようとしてるのかと思っちゃったの。」
「え?」
驚くペトラが嬉しくて、私は饒舌に口を滑らせ続ける。
「恋人なのかと思って驚いたよ~。
ペトラの目に入ったゴミをとってあげてたんだってね。」
「リヴァイ兵長がそう言ったの?」
「怖い顔で睨まれちゃった。
変な勘違いする暇あるなら、せいぜい死なないように訓練に励めってさ。」
至極楽しそうに笑う私は、ペトラの目が徐々に伏せられていくことに気づかなかった。
この時、ペトラはどんな気持ちで私の話を聞いていたんだろう。
「………じゃないよ。」
「ん?」
「勘違いじゃない。キス、しようとしてたんだよ。」
ペトラは目を伏せていて、いつもよりも少し低めのその声は聞き取りづらかった。
でも、何を言ったのか分からなかったわけじゃない。
「え?」
驚いた顔をした私を見て、ペトラはハッとした様子で、笑って誤魔かした。
「冗談、冗談っ!もう変な勘違いやめてよ~。」
必死に笑うペトラは、泣いているように見えた。
私のものじゃない胸の痛みが、伝染したみたいに私の胸も痛くなってー。
特別、鈍感でもないと思うけど、敏感でもない私でも、気が付いてしまった。
ペトラの気持ちー。
「なんだ、そっか。ビックリしたよ~。」
私は、うまく笑えていただろうか。
私達は、うまく笑えてるように見えていただろうか。