【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第27章 ◇第二十六話◇104期の新兵達【調査兵団入団編】
「アンタ、意外とやるね。」
地面に仰向けに倒れこんだ私の隣に、アニが座った。
それは、褒めたのだろうか。嫌味だろうか。
息も絶え絶えで、汗だくの私とは違って、アニは涼しい顔で息も乱れていないし、一筋の汗すら流れていない。
それも仕方がないか。
私は、あれからずっと、アニに投げ飛ばされ続けた。
気づけば、空には夕日がさそうとしている。
そろそろ、馬車に乗ったハンジさんが迎えに来る時間だろう。
「すぐに音を上げると思ったんだけどね。」
「約束したからね。最後まで頑張るって。」
手を引いてくれるアニの力に頼って、私はようやく上半身を起こした。
対人格闘術の指導を始めたときより、アニの表情が僅かに柔らかくなったような気がする。
さっきの言葉は、褒め言葉だったと受け止めることにしよう。
「これで、私は死なないで帰ってこられるかな?」
「さぁ、それはアンタ次第じゃないの。」
そっけない言い方だけれど、嫌な気持ちにはならない。
なんとなくだけれど、リヴァイ兵長のそれと似ているような気がした。
「ねぇ、アニはどうして憲兵団に入ったの?」
言ってからどうしてそんなことを聞いたのだろう、と思った。
成績上位で権利を貰えたのなら、普通は憲兵団に入る。
エレン達が少し、というかだいぶおかしいのだ。
「ごめん、変なこと聞いたね。
ただ…、ただアニはすごく優しいから。
なんとなく、どうして憲兵団にしたのかなって思っただけなの。」
驚いた顔をして私を見たアニに、慌てて言い訳をした。
何度か憲兵団施設に足を運んで、汚い兵士を見たのは1度や2度ではない。
調査兵団の兵士達と関わって、兵士というのは私がイメージしていたのとはだいぶ違うのだと知った。
でも、それは私が知った兵士達がそうだったのであって、他の兵士達もそうだとは限らないだけだ。
そして、そうだとは限らない兵士が最も多いのが憲兵だということも知った。