【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第25章 ◇第二十四話◇好きになった人【調査兵団入団編】
「わざわざ会いに来て頂けるなんて、ありがとうございます。」
母が、ハンジさんとリヴァイ兵長に深く頭を下げる。
あの後、リヴァイ兵長の提案で私の家族が住む家に連れてきてもらっていた。
父は仕事に出ていて、今は家に母だけしかいないのだそうだ。
調査兵団が私の家族のために用意したその家は、貴族達が住むような豪華絢爛とまではいかないものの、とても広くて綺麗だった。
エルヴィン団長が懇意にしている貴族の使っていなかった別荘だったと聞いている。
一応、調査兵になったことは秘密にしているため、兵団服を着ていたら怪しまれるかもというハンジさんのその通りの指摘を受けて、近くの店で洋服も買った。
調査兵団に入団してから洋服なんて買いに行く暇もなかったから、欲しいとは思っていたとは言え、貴族御用達の店の洋服を買う羽目になるとは、かなり痛い出費だ。
でも、それで、家族が安心を得られるのなら安い買い物かもしれない。
「いえいえ、美味しい紅茶まで出して頂いて、ありがとうございます。」
「調査兵団さんのおかげで、何不自由ない暮らしをさせて頂いて
今度、お礼に伺おうと思ってたんですよ。」
「そんなっ!お構いなく!!ぜんっぜんっ、大丈夫ですから!!」
傍から見ると、大げさに謙遜しているように見えるかもしれないけれど、事情を知っている私には、真実がバレるから焦っているようにしか見えない。
前から思っていたけれど、ハンジさんは嘘を吐くのがとてつもなく下手だ。
調査兵団に入団することになったことは、やっぱり私にとっては良かったことだとは今もあまり思えない。
でも、家族がこうして不自由なく暮らしていることも、ハンジさんが私を見つけてくれたおかげだ。
上官が優しいハンジさんだったことは、私にとっては不幸中の幸いだったに違いない。
「それにしても、が突然、結婚して調査兵団の兵舎に嫁入りするなんて聞いて
本当に驚きました。でも、引っ越しのときもみなさんとても良い方ばかりで
安心したんですよ。」
嬉しそうに話す母の姿に、ズキリと胸が痛んだ。