【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第23章 ◇第二十二話◇止まれ【調査兵団入団編】
固い地面に叩きつけられるはずだった背中には、硬い温もり。腰に回る硬い腕の感触と耳元にかかる吐息。
「チッ。あぶねぇじゃねーか。」
リヴァイ兵長の怒った声が、私の耳の鼓膜と心を揺らして、心臓まで叱りつける。
ギュッと自分のシャツの胸元を握った。
「ごめんなさい!休憩します!」
お前が勝手に決めるなーとか後ろから怒ってる声がしたけど、私は振り向かなかったし、戻らなかった。
もしこれが、この心臓の音が、私の思った通りのそれだったとしたら、私は止まらないといけない。
これ以上、大きくならないように。
手遅れになる前に、止まらないといけない。
『止まれ!』
リヴァイ兵長の声が頭の中で響く。
分かっている。ちゃんと止まらないといけない。
耳にかかるリヴァイ兵長の吐息が、背中にあたったリヴァイ兵長の温もりが、私から離れるまで―。
ペトラの部屋で見た、写真の中で柔らかい表情を浮かべるリヴァイ兵長が、私から離れて消えるまで―。