【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第21章 ◇第二十話◇誤解を解く【調査兵団入団編】
下世話な好奇心でワクワクさせながら、ハンジは、2人に気づかれないように近づいた。
「私、リヴァイ兵長に色目使ってるらしいですよ。」
「へぇ…、知らなかったな。気づいてやれなくて悪かったな。」
ベランダに続く窓に手を触れようとしていたハンジの手が止まる。
自然と会話の中に出てきたそれは、ペトラから聞いた悪い噂のひとつだった。
思わず、柱の後ろに身を隠してしまった。
聞き耳を立てようとしていたわけではない。
ハンジがいることなど気づきもせず、とリヴァイは話を続けた。
「ついにリヴァイ兵長まで落とした私は、今すぐ巨人に食べられたらいいそうです。」
「心配するな。落とされた覚えはねぇよ。
まだまだ長生きしやがれ。」
「そういうことじゃなくて!
リヴァイ兵長が無視してればいいって言うから、そうしてたのに。
なんか、どんどん噂がひどくなってる気がするんですけど。」
「あとはお前の人徳だと言っただろ。悪ぃのはおれじゃねぇ。
クソみてぇな自分を恨むんだな。」
「そういうの無責任って言うんですよ。」
「お前のために責任を負ったつもりはねぇ。」
「ショックです、とても。泣きそうです。」
「嘘つけ。」
口を尖らせるに、リヴァイは適当に返している。
いつの間に、2人はこんな風に軽口をたたき合えるまで距離が縮まったのだろう。
一緒に壁外任務に出ることがあると言っても、まだ数回だ。
それに、一緒にと言っても班行動だから、2人きりでこんな風に真夜中の逢瀬を重ねる仲になるきっかけには薄い気がする。
でも、ハンジがショックだったのは、そのことじゃない。