【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第21章 ◇第二十話◇誤解を解く【調査兵団入団編】
部屋にはいなかった。
近くにいた兵士にを見ていないかを聞いてみると、夜になるといつもどこかへ出かけてしまうと言われた。
誰に聞いても同じだ。
だが、誰もどこへ向かっているのかまでは知らないようだった。
一体どこへ行ってしまったのだろう。
『結構ヒドイこと言われていたので…、
巨人ではなく仲間にが潰されないかと心配です。』
ペトラの言葉を思い出して、焦る。
誰が何と言おうとの力は調査兵団には必要だ。
これからの壁外任務でも大いに役に立ってくれるだろうし、金欠だからまだまだお使いに行ってオマケしてもらわないと困る。
今日、エルヴィンに出した兵団資金計画書はのオマケも見越した金額を書いてあるのだ。
兵舎中を探して、ハンジが談話室にたどり着いた頃には、夜の月は空の一番高いところに昇っていた。
『天使のようだね。』
今朝、を見たときのナナバの声が蘇った。
夜の闇が白いワンピースを神々しく光らせる。
ベランダの手すりの縁に腰を下ろし、膝を抱えて月を見上げるのワンピースの裾がヒラヒラと揺れて、まるで天使の羽のようだった。
スラリと伸びた細く白い手足は今にも折れそうで、悪い噂とは違うけれど、無性に守ってあげたくなってしまう。
不思議なのは、そんなのそばにリヴァイがいたことだ。
ベランダの手すりにもたれかかり、紅茶を飲みながら何かを話している。
よく見てみると、の手にもティーカップがある。
兵士達がは夜になるといつもどこかへ出かけていくと言っていたが、もしかして毎晩2人で紅茶を飲んでいるということか。
(え?付き合ってんの、あの2人?)
一緒に行動することも多い2人だからありえなくもない組み合わせだが、意外でもあった。
驚いた。
見てはいけないものを見たのかもしれないけれど、このまま放ってもおけない。
は自分がスカウトしてきた大切な兵士だ。
知らないうちに、あっという間に手を出されていたことに文句のひとつも言ってやらないといけない。
なにより、面白いからからかいたい―。