【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第166章 ◇第百六十五話◇変わらない想い【運命の決戦編】
「それじゃ、私達は帰るわね。」
墓石の前にはのティーカップが置かれている。
リヴァイのティーカップにも紅茶を注いだ後、母親はそう言って持ってきたバッグを肩にかけなおした。
父親も帰るつもりのようで、にまた来るなと声をかけていた。
「もう帰っちまうのか。」
「だって、そろそろ帰らなくちゃ、2人きりになりたいのにって
怒られちゃうもの。」
「俺達がいたら話せないこともあるだろ。今日は2人で過ごせばいい。」
気を利かせてくれた彼らに、壁外調査から戻ったら顔を出すと伝え見送る。
初めは少しぎこちなかった関係も、今では両親とはこういうものなのだろうかーと知ったような気になるくらいは、心を許しあえていると思う。
を失った日、この世界にひとりきり残されてしまったように感じていた。
でも、ひとり残して逝かないという約束を、はちゃんと守ってくれていたことをリヴァイはすぐに知った。
家族がいるこの世界は、孤独とは程遠く、だからこそ今日までやってこられたのだと思う。
「今日は天気がいいな。壁外調査日和だ。」
の墓石に寄り添うように背中を預けて座り、リヴァイは空を見上げた。
眩しい太陽と青い空に浮かぶ白い雲の中に、天使の翼に似ているのを見つけた。
あの羽を貰えたら、に会いに行けるだろうかー。
空に手を伸ばしてみたけれど、届くわけがない。
なんだかんだやれてると言ったって、逢いたい気持ちは日に日に大きくなるばかりだー。
「漸く海に行けるな。一緒に行くだろう?」
墓石に頭を預け、空を見上げながら話しかける。
がこの世を去ったことは、苦しくて悲しくて、つらかった。
それでも、残されたリヴァイ達にとっての唯一の救いは、が今いる世界には、彼女の大切な人達がそばにいてくれるだろうと確信できたことだった。
親友が2人いるし、共に戦った仲間達もいる。
きっと、ファーランとイザベルとも仲良くしているだろう。
せめて、が自分のように寂しく悲しい思いをしていなかったらいいー。