【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第164章 ◇第百六十三話◇勝利の女神に敬礼を【運命の決戦編】
「そっちは、犠牲者はいないようだな。」
エルヴィンが、ハンジ達を見渡して言った。
ホッとしたような、でもどこか、とても悲しいような表情をしていた。
返事をしたのはモブリットだった。
「の声がライナーとベルトルトに届いたようで、最後の最後に踏み留まってくれたんです。
これからは、人類と彼らの世界にいる人間との間での共存方法を探したいと。
今はの意思を尊重して、彼らの拘束はしていませんが…。」
「あぁ、構わない。の思うようにやらせよう。」
「分かりました。」
モブリットが視線を送ると、ミケが頷いた。
ミケ班のメンバーは、いつでも鞘から抜けるようにと超硬質スチールの柄頭に触れていた手を離した。
「、なんで髪切っちゃったの?まぁ、すぐ伸びるからいいか、髪くらいはね。
でも、腕は伸びないよねぇ…。まぁ、仕方ないか。私が右腕になってあげよう。
それで、リヴァイ。は…、いつ起きるのかな…?」
答えに怯えて、ハンジの声は震えていた。
シガンシナ区にいて、何も知らない調査兵達は怯えた目で、返事を待っていた。
でも本当は、エルヴィン達の表情で、嗚咽を漏らす新兵達の泣き顔で、答えなんて分かっていたのにー。
リヴァイは目を伏せ、の顔を見たまま答える。
「はもう、起きねぇ。」
「な…、何言ってんだよ…っ。そりゃさ、は一度寝たらなっかなか起きないけどさっ。
せっかく、ライナーとベルトルトが、が伸ばした手をさっ、掴みたいって…!
褒めてやらなきゃいけないんだよ…!私はさっ、の上司として…、褒めてやりたいんだ…!」
ハンジは抵抗した。必死に現実から抵抗した。
でも、ゆっくりと顔を上げたリヴァイに見えたのは、絶望でも、悲しみでもなく、ただひたすら無表情でー。