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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第161章 ◇第百六十話◇起死回生の作戦【運命の決戦編】


そう、もうせめて、生きて帰るだけでいいー。
そんなことを、兵士達は考え始めていた。
それは、リヴァイ兵長ですら同じだったようだ。

「エルヴィン、反撃の手数が何も残されてねぇって言うんなら
 敗走の準備をするぞ。
 、エレンを連れてこい。」
「エレンをですか?」
「あぁ、巨人化したエレンにエルヴィンと何人かを乗せて逃げろ。
 少しでも生存者を残す。もちゃんと乗って逃げろよ。」
「そんな…っ!?リヴァイ兵長は!?」
「俺は獣の相手だ。奴をひきつけてー。」
「無理だ。近づくことすら出来ない。」

エルヴィン団長が首を振る。
もう諦めているようなエルヴィン団長だったが、リヴァイ兵長はそれでも希望を見続けようとしていた。
せめて、エルヴィン団長とエレンさえ生きて帰ればどうにかなる。
他の兵士達を諦め、今の勝利を諦め、いつかの希望に賭けて逃げるー。
もうそれしか残されていないと思っているようだった。

「大敗北だ。正直言って…俺はもう誰も生きて帰れないとすら思ってる。」
「あぁ、反撃の手立てが何も無ければな…。」

エルヴィン団長が目を伏せる。
まるで、何かに気づかないでほしいと願うようにー。
でも、本当は気づいて欲しくもあったように思った。
だからきっと、リヴァイ兵長は気づいてしまったのだ。

「…あるのか?」
「…あぁ。」
「…なぜそれをすぐに言わない?
 …なぜクソみてぇなツラして黙っている?」

エルヴィン団長の答えは、私の知っている彼らしくはなかった。
でも、とても人間らしかったと思う。
たとえそれが、人類の勝利を妨げようとしていたのだとしてもー。
だって、誰にだって、夢を見る権利はあると思うから。
それでも、エルヴィン団長は背中に重たいものを背負っていて、リヴァイ兵長はそれを肩代わりしてでも人類のための勝利をまっすぐに見つめていた。
きっと、リヴァイ兵長にとって、エルヴィン団長は道標だったに違いない。
彼がいなくなったら、リヴァイ兵長はどうなるのだろう。
今、このときにも、獣の巨人は投石を続けていた。
まるで、私達が夢を見ることすら許さないとばかりにー。

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