【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第159章 ◇第百五十八話◇運命の日の前夜も貴方を愛する【運命の決戦編】
「冷えてきたな。そろそろ食堂に戻るか。」
リヴァイ兵長が伸ばしてくれる手をとって、塀から降りる。
強く手を握って、仲間達の集まる食堂へと向かう。
壁外調査の前は、頭が狂いそうになると誰かが言っていた。
今日はきっと、みんな頭が狂いすぎて、たぶん、本当の恐ろしさに気づいていない。
それでもいい。
せめて今夜は、仲間達と笑い合おう。夢を見よう。
「今日、お肉があるらしいですよっ。」
「あぁ、ディルクも面倒なことしてくれたもんだ。」
「すっごい楽しみですねっ。」
「食い過ぎたら、ドレスが入らなくなるぞ。」
「あ…!だ、大丈夫です!明日、いっぱい動くからっ!」
「ウォール・マリア奪還作戦でダイエットする女がいるとは、
誰も思わねぇだろうな。」
「うるさいな。」
むぅっと頬を膨らませれば、リヴァイ兵長が髪をクシャリと撫でる。
私とリヴァイ兵長は、話し足りないと思ってるみたいにずっと喋り続けながら食堂へ向かった。
たくさん笑って、少し意地悪く口元を歪めて、何度も見つめ合って、私達が交わしたのは、明日だって、明後日だって、いつだって出来るような他愛のない話。
でも、たぶん、私達はそれがよかった。
特別な話じゃなくたって、大切な人と交わせば、それはかけがえのない思い出になることを、私達は知っているから。
それを本当に明日も明後日も出来ることが、どんなに尊いことかを、私達はちゃんと、知っているからー。