第3章 化け猫の涙
健治はポケットからキャラクターのキーホルダーを取り出して化け猫に見せた。
「鍵とかに付けるこんなやつだよ
普通の招き猫よりは小さくなるけど、これならいつも持ち歩いてるから取り憑くのと変わらないだろ?」
化け猫はキーホルダーをまじまじと見ながら考え込んだ。
「小さくなると我の力も小さくニャるけど、いつも持ち歩くならこれでも大丈夫ニャ」
それを聞いた健治はホッと胸を撫で下ろした。
「お前、名前とかあるのか?」
「我に名前などニャい
招き猫か化け猫としか呼ばれてこなかったニャ」
その時、健治には化け猫が少し寂しげな顔をした様に見えた。
「じゃあ、僕が名前付けてあげるよ
護ってもらうのに、化け猫とか招き猫じゃ何かやだから…」
「我に名前を授けてくれるニャか?」
化け猫の表情が明るくなり周りに小判が舞ってる様に見えた。
「そうだな、やっぱり猫だしタマちゃんなんてどう?」
「…我がタマちゃん?
………タマちゃん!」
何か周りを舞ってる小判が増えたみたいだと健治は思った。
(喜んでいるのかな?)
「お主…いや健治…
これからよろしく頼むニャ!」
「いやいや、タマちゃんに護ってもらうの僕だから…」
「ゴロニャーン!」
化け猫タマちゃんは健治の手の中でキーホルダーになった。
end