第3章 化け猫の涙
化け猫は更に言葉を続けた。
「六郎はお主に何もしてやれずに亡くなったニャ
あの世にいった六郎は我を思い出して願ったニャ
孫を、健治を護ってやってくれとニャ」
「なんで招き猫のお前がそんなにじいちゃんの願いを叶えようとするんだよ!?」
健治はまだ後退りをしながら叫んだ。
「我は招き猫の前は化け猫だったニャ
招き猫になってからも、誰も気味悪がって買わなかったニャ
でも六郎はそれを知りながら我を買ってくれたニャ
嬉しかったニャ…」
化け猫の金色の眼に涙が浮かんでいる様に見えた。
「しかし、我は招き猫として六郎の店を守れなかったニャ!
だから、お主を護る為に化け猫に戻ったニャ」
化け猫は持っている小判をキラッと光らせると一瞬のうちに健治の背後に回った。
「早速取り憑いてお主を護るニャ」
「うわぁー!待て!待って!
取り憑かなくても護れるだろ!」
健治は慌てて化け猫から這って逃げた。化け猫は首を傾げた。
「取り憑かないといつも一緒にいられないニャ
傍にいないと護れないニャ」
それを聞いた健治はあることを思い付いた。
「お前、招き猫になれるなら、ストラップやキーホルダーにもなれるんじゃないのか?」
「ストラップ?キーホルダー?それは何ニャ?」
化け猫は前足で顔を拭いながら更に首を傾げた。