ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第14章 迷子はダイブ
幸い此所は私の世界だしG○ogleのマップ機能を使えば……なんて思うけど彼の眺めていた民家の名前なんて検索のしようも無く……
私はとりあえず来た道を戻る事にした
この決断に至るまで時間にしておよそ数十秒
狼狽える事無く路地を引き返した私はまさに冷静沈着だった
(…………ヤバい………迷子やん………)
周りから見ても迷子だとは悟られない自信に満ちているが、しかし!!
かなり心細い…………………ッ
いい歳をした大人が、なんて言わないで欲しい
初めて来た土地勘も何も無い場所で
名も知れぬ路地裏の水路だけが目印の迷子だなんて………
更には地図も読めず駐車場の場所すらわからないだなんて………
こんなに無力な事があるだろうか
こんなめちゃめちゃローカルでディープな場所で…………
……………………気が付けば彼へ繋がる通話ボタンを押していた
無機質に繰り返される音に全神経を向けながら祈る
(お願い、出て!!!!!!!!!)
私は結局彼が居ないとちょっとした散策も出来ない駄目な奴なのだ
そんな自分にうんざりとしながらも強く祈りから汗ばんだ手
そして鼓膜を揺らした単調な声に小さくガッツポーズをしたのは、あまりにも間抜けなので秘密だが……
「イルミさん!!今何処に居ますか!!」
私の声は一縷の希望を前に妙に大きかった
『何処って………さっきから動いてないけど。』
「あの………その………私何処に居てるんでしょう………」
『………は?』
「ちょっと……帰り道が……その……」
『……………。』
「すみません、迷子になってしまって……………」
希望の光である彼の声は単調なのに呆れているのがひしひしと伝わって
私の言葉は尻すぼみに小さくなっていた
『…………目印とか無い訳?』
「目印…………」
彼に言われて辺りを見渡すも路地裏の水路としか言えず
『特徴的な建物とか。』
「………すみません」
『然程離れてはいないんでしょ?』
「……はい」