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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第14章 迷子はダイブ


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川遊びをする家族連れの姿が賑やかな吉田川を越えて

"い○わこみち"という水のまち郡○八幡の代表的な水路を散策した

用水路と密接な生活環境は彼には勿論、私にも物珍しい光景で
鮮やかに水面を賑わす鯉や鮎等へエサやり体験をしたが……中々の迫力だった


多数残されている親水空間の他、現在に城下町の風情を色濃く残した古い町並みは重要伝統的建造物群保存地区に指定されたエリアで

歩いているだけで楽しい町ブラにピッタリの雰囲気に大変満足していたのだが……………







「え……………あれ…………?」






私は目の前に広がる町並みに困惑していた



……………と言うのも、歴史的建造物が好きな傾向にある彼は未だ人が生活している町並みがそのまま……という部分に余程興味を惹かれたらしく約10分間ずっとひとつの建物を眺めていた

彼の真剣な横顔がキュートなので思う存分見せてあげたいッ!!と思う反面私は少々飽きていたのだ


仁王立ちの彼の周りをチョロチョロしながらも、ふと路地の奥から微かに聞こえる水音に気が付いて私は彼に声を掛けた


「あっちにも水路があるみたいなんでちょっと見てきても良いですか?すぐ戻ります」


口元に手を遣ったまま一体何を繁々眺めているのかコクリと頷いた彼を見届けてから私はその場を離れた


彼も彼なりに楽しんでいる様子にほっこりしながらも軽い足取りで狭い道を進めば

観光的と言うよりも地元の方が本当に利用しているであろう穴場的な水路に辿り着いたのだ


より一層見て取れる生活感は不思議な光景を生み出していて、他に観光している人の姿が無い事も情緒を感じさせた

この名も無き水路を私だけが見付けた様な特別感に小さな幸福が胸を包んで


私は暫く鼻歌を歌いながら水路に沿って歩き、変わらず透き通った水を眺めてから元の場所へと戻った……………筈だった



しかし私の目に映るのは似た様な城下の町並みだが彼が立っていた筈のあの場所とは違っていて

同じ様に観光客がのどかに散策しているものの私は静かに危機感を抱いた





立ち尽くしていたのはほんの数秒だったと思う



ポケットに詰めてシワの入った地図を広げて直ぐに仕舞った


そもそも私は地図なんて読めないのだ


鼻で笑う他無い。




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