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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第14章 迷子はダイブ






隣から降ってきた溜息交じりの声は完全に決めてかかった言葉だったけれど嫌味っぽさは感じず

困ってしまってへにゃりと笑った私は地図を彼に見せた

私が持っていても何の意味も成さない……………


やれやれ、とでも聞こえて来そうな横顔だが彼は案外頼られるのが好きなのかもしれない………と思う


元々長男気質で面倒見の良い彼は不必要には甘やかさないものの頼ってしまえば大抵の事は甘やかしてくれるのだ

今も私からすんなり地図を受け取った彼は嫌な顔……と言うより無表情で目的地確認をしてくれている


………あくまでも私の勝手な憶測に過ぎないし彼はまだまだ未知がいっぱいのミステリアスさんなので真実かどうかは置いておき


手持ちぶさたに彼の隣を歩く私は着々と増えて行く思い出を噛み締めていた





昨日合○村にて貴重な体験を終えた後、下呂温泉にてがっつり洗髪まで済ませた私達


有名温泉地だし本当は温泉地あるあるの湯めぐり手形を購入して温泉の梯子を考えていた私だがまだまだ暑いこの季節

流石に三軒も梯子しては身が持たない、と大人しくひとつの宿で美人の湯を堪能した

その後はすっぴんだったが大々的に観光地として栄えていると言うより都会の喧騒を忘れて静かな時を染々と感じられる落ち着いた雰囲気に然程浮く事も無く

まったりと足湯を巡りポカポカの身体でソフトクリームを食べたり有名な肉寿司を頂いたりした

以前からテレビで紹介されているのを知っていてちょっとした憧れだったので思い切って飛騨牛の霜降りを注文

二貫で800円と少々お高いのでひとつで良い!と彼を止めた私はやはりどうしようもなく庶民気質だが、半分こして食べた肉寿司は甘く口の中で溶けて絶品だった


そして今朝、化粧乗りの良さに私は感激した

やはり美人の湯と有名なだけある……いつもよりも数段もスベスベしている…………!!!




となれば…………普段から陶器の様にスベスベの彼は一体どうなっているのだろう………



なんて私の思考はいつもの如く忙しない


すっかり暗記したのか地図を私に返却した彼はぞろぞろと散って行く人波の内ひとつの方向へ足を進めて

こんなに呑気に歩いていられるのも彼のお陰だなぁと染々感謝しながらも

私の視線は緩く揺れる大きな手へと注がれていた




彼の素肌は如何に………………?




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