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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第13章 タタリネコ







エンジンが切られて僅かな物音も無くなった車内

チラリと此方に視線を流した彼は車のキーを外しながら「行こうか。」と単調に口にした


途端に楽しく弾み出す胸をそのままに大きく返事を返した私は意気揚々と扉を開いて一歩を踏み出した


一応休日だが私達の車を入れて数台しか停まっていない駐車場は広く、観光地らしいお土産屋さんと食堂が一体に成ったノスタルジックな建物が雰囲気を盛り上げる


軒先にぶら下がった"氷"の旗やラムネ等が売り出されていて思わずフラっと立ち寄りそうになるけれど

ようこそ不動滝へと書かれた看板の元を真っ直ぐに目指す彼の影を追ったのだが

チョロチョロと水音が聞こえて不意に立ち止まった彼は進行方向とは違う所に視線を落とした




「こういうの何か良いですね!」


「ふーん。」



彼が見付けたのはカゴに入った新鮮なトマト


艶々と輝くトマトが湧き水に冷やされて売られていたのだ

普段生活している中では見ない旅先らしい光景に笑みを浮かべた私に彼は少し不思議そうに間の抜けた声を落としただけだった



「食べます?」


「要らない。」



興味は惹かれたらしいがそれとこれとは別で、ぶっきらぼうに答えた彼と再び歩き出す



大きな看板を潜ればハイキングはスタートだ

私達は本格的なハイキングではなく約40分のコースを歩くと決めていたのだが

それでも道が綺麗に細されている訳では無いし晴れているのに湿った地面にスニーカーで正解だったと一人頷く






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