ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第11章 気まま旅の始まり
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満月寺を私達なりに楽しんだ後、甲賀を目指してキャンピングカーは走り出した
途中、ご当地スーパーにて滋賀グルメで有名なサラダパンを購入した
場合により売り切れているかもと事前に調べて知っていたので私は大興奮でパンをわし掴んだのだが
庶民的な見た目のご当地パンをドヤ顔で掲げる私に彼は実に冷ややかな視線を送っていた
揺れる車内にて袋を開いて彼に差し出す
「………沙夜子がどうしても食べたかった物ってこれ?」
「はい!」
どうやら彼は騒ぎ立てる私の反応と実物に少し肩透かしだったのだろう
俄然気だるくパンを受け取った彼は私をミラー越しに見詰める
「色んな人に愛されて有名になったパンですよ!絶対美味しいですって!!」
「食べた事はないんだ。」
「はい!!」
深く頷いた私に小さく溜息を漏らしながらも「いただきます」と呟いた彼は上品ながらがっつりと一口噛り付いた
私はそれを見届けてパンを頬張り歓声を漏らす
「…………おぉ!!美味しい!」
サラダパンの中身はたくあんのマヨネーズ和え
マヨネーズのまろやかな風味が鼻を抜けてしっかりとしたたくあんの歯応えと甘味がコッペパンと絶妙なハーモニーを奏でる
美味しい…………幸せ…………
私は一発で虜となり嬉々としてムシャムシャと噛り付く
「美味しいですね!」
「………………。」
彼は食べ慣れないたくあんがどうしてもイマイチだったらしく微妙な反応だったけれど
それはお国柄と言うか世界柄仕方ないのかもしれない
「クセになる味ですよこれは!あー……もう一個買っとけば良かったぁ~……」
「………あっそ。」
それでも残さず完食した彼と食後のジュースを飲みながら暫く魅惑のご当地パンの余韻に思いを馳せた
「もうほんま好きやわ……クセになる」
「……………。」
「クセになる美味しさですよね!」
「ボキャブラリー少な過ぎでしょ、それしか言ってないじゃん。」
「そうですか?だってクセになりません?」
「もう聞きたくない。」