第1章 帰路に付く

……私を温かく見送ってくれた家族と無事に再会出来たのだ



貴女の人生は貴女のものだからと勇気を与え背中を押してくれた母


私が悲しみに暮れるのを見て守ってやれるのは俺達だけだと頑なに異世界行きを反対した父も

結局は私の背中を優しく押してくれて


二人が私を信じてくれたから歩み出せた


本当はずっとずっと会いたかった


私はホームシックに何度泣いたのだろう



病気や事故に合っても私には知る事が出来ない

安否もわからない異世界で皆元気に過ごしているのかとずっと心配だった



二人共に変わらない元気な姿で出迎えてくれた事が嬉しくて


そして沢山の心配を掛けてしまったからこそ元気で帰って来たのだと伝えられる事が凄く幸せで



「お母さんっ……ちょっと痩せた？」


「もぅ"……っあんたのお陰で痩せれたわ」


「お父さん"怪我とかしてない……？」


「……おう」




父と母と再会の喜びに歓喜する空間には感動が満ちる




そんな中、




沈黙を守っていた彼は突如として凛とした声を放った






「娘さんをぼくにください。」





玄関にすら上がっていない野外で彼の声はやけに響いた