ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第8章 車を見に行く話
…………おいおいおい……………………待ってくれ…………………
「奥様も是非拝見してください!」
今日一番の笑顔を向ける店員さんは商売人の顔をしている
私は促されるまま恐る恐る車へ足を踏み入れて暫くポカンと辺りを見回した後、ははは……と乾いた笑い声を上げた
私の目の前に広がっていたのはまるでホテルの一室の様なゴージャスな空間だったのだ
広々としたリビングには10人掛け程の質の良いソファーと大きなテーブル
その隣には私のアパートにあるよりも大層立派でピカピカな独立キッチン
違和感の無いトイレとガラス張りのシャワールーム……そして更に奥には大きくてフカフカのベッドが堂々と鎮座したベッドルーム
おまけに照明はシャンデリア……………
私の脳裏に様々な海外セレブ達が顔を覗かせる
キャンピングカー……?これじゃまるで高級マンションと変わらないじゃないか………
私の脳内はカルチャーショックと想像の相違、そしてビヨ○セ何かの海外セレブ達で混沌としていて
「下にスポーツカーを収納するスペースもございます!」
なんて目が円に成った店員さんに言われても暫く固まったままだった
車?嘘だろ、と思う階段を登り彼が優雅にソファーに腰掛ける
長い脚を放り出して背凭れに体重を預けた彼と微動だにせず突っ立ったままの私の視線が交わった
(わかってますよねイルミさん、話し合いましたもんね、こんなん違いますよね…………わかってますよね??)
目と目だけで意思疎通をはかった私に彼は全てわかっているとばかりに小さくため息を付いて
実に凜とした声を放った
「これもらうよ。「いや待たんかいッ!!!!!」